08
10月
2010

「ポケットモンスターブラック・ホワイト」のつくりかた 2

こんにちは、Web担当のにょろリカです。
今週も「ポケットモンスターブラック・ホワイト」開発者インタビューを
お届けします。
第2回目の今日は、プランナー・まつみやの
「シナリオ ここだけの話し」をお送りします!
—–
―それでは、まず最初に自己紹介をお願いします。

プランナーのまつみやです。
「ポケットモンスターブラック・ホワイト」ではシナリオを担当しました。
ポケモンは「金・銀」からずっとシナリオを書いています。

―早速ですが、シナリオはどういう手順で書いていますか?
 プロットはディレクターが決めるのでしょうか?

まず最初に、ディレクターの増田から「こういうテーマでやりたい」
「こういうキャラクターが欲しい」「こういうシーンを入れて欲しい」と
いうような要望が断片的に来ます。
その時点では、話の大筋はまったく決まっていません。
それで、ディレクターからの要望と、自分のやりたいことを整理して
プロットを作っていきます。
今回はプロットのほとんどを任せてもらっていますね。

―ストーリーはどこから考えますか?
 登場人物をある程度決めてから書き始めるのでしょうか?

今回は結末、というか、「ここで終わらせたい」というポイントがあって、
そこから逆算してストーリーを作っていきました。
増田から「N」の設定案をもらい、それを自分なりにふくらませて
ああいうキャラクター、ストーリーにしました。

―自分が書いたシナリオに絵がついて動いたときに、
 「お。ここはこんなふうになるんだ!」と思ったところはありますか?

今回は、色々なイベントシーンにサウンドがついているのですが、
僕はあれがすごくイイと思っています。
クライマックスの盛り上がりは、サウンドと、それから
3Dグラフィックデザイナーのジェイミーが作ったデモのおかげですね。

―まだプレイ中のユーザーの方も多くいると思うので詳しくは
 書けませんが、「デモ」というのは、あの一連のアニメーションですね。
 あれはびっくりしました。

デモのクオリティが高いのと、インパクトが強いのとで、プレイヤーが
物語に入りやすくなっているかな、と思います。
あの辺は、セリフまわしだけでは伝わらないですね。
サウンドとデモ以外にも、2Dグラフィックデザイナーのおおむらの描く
ジムリーダーなどが魅力的で、自分の中でキャラクターのイメージを
固めていくのにずいぶん助けられました。
ポケモンらしさを保ちつつ時代に合っていて、魅力的な人物になっていると思います。

―私の周囲ではフキヨセシティのジムリーダー・フウロの人気が高いです。

あれは2Dアートディレクターの杉森から「可愛くして」ってオーダーが
あったんですよ(笑)。
ものをつくる仕事をしていると、どうしても個性を強くしようとして、
「ヘンなキャラクター」ばっかりになっちゃいがちで。
そんな「ヘンなキャラクター」の中で“プレーンな可愛さ”が
際立つんでしょうね。

―もしかしてplainとplaneをかけているのでしょうか……。
 それはさておき、シナリオはいつ考えていますか?
 偏見かもしれませんが、「毎日会社に来て、会社の机に向かってモノを書く」
 というのがちょっとイメージしにくいです。

基本的には家で考えて、会社に来てアウトプットしています。
アイデアが思い浮かんだら携帯電話のメモ帳にメモして、次の日に
推敲したり。
アイデアに詰まったときは、会社で色々やっているうちに解決する
ことが多いです。打合せとか、モノができあがっていく過程でとか。
たとえば、チェレンは、最初のうちは書きづらいキャラクターでしたが、
おおむらがデザインをまとめてくれたら、すんなり書けるようになったし。

―チェレンは最初はクールと見せかけておきながら、物語が進むにつれ、
 実は子供っぽい、負けず嫌いな面が出てきますよね。
 あと、ベルがいい子。最初はちょっとうっとうしいかな?と思ったんだけど、
 話が進むにつれてどんどん好感度がアップしていきました。

今回は主人公たちの年齢が今までよりも少し高くて、冒険の旅に
出たのが遅いんです。
チェレンはポケモンの知識はいっぱいあるんだけど、頭でっかちで
強くなりたい度数ばっかりが高くなってしまった…という、ちょっと面倒なコ。(笑)
ベルは書きやすかったですね。
印象に残るよう、わざとうっとうしい感じにしました。
あまりやり過ぎると嫌われてしまうので気をつけましたが。
どのキャラクターにも言えるんだけど、特定の「モデル」はいなくて、
色んな人の色んな部分をちょっとずつ反映させています。

―そうなんですね。
 話しが変わりますが、まつみやさんは学生時代とかゲームフリーク入社
 以前は何をやっていたのですか?

大学を卒業してしばらくフラフラした後に、アルバイトでポケモン赤・緑の
デバッグをやりました。
その後、続編(ピカチュウバージョン)を作るにあたって“人が足りない”と
声をかけてもらい、以来ずっとポケモンに関わっています。

―デバッガーとシナリオライターって全然違う仕事だと思いますが、
 なぜシナリオを担当するようになったのでしょう?

まあ、最初は僕がシナリオを書く予定じゃなかったんですけど、
当時シナリオを書く予定だったスタッフが多忙すぎて。
それで、手の空いている僕が書くことになりました。
最初はシナリオじゃなくて、主に図鑑を書いていました。
ちゃんとシナリオを書くようになったのは、「金・銀」からです。

―そういえば、まつみやさんは雑誌とかに全然出てこないですよね。
 これだけ長い間シナリオを書いていたら、インタビューに出ていても
 おかしくないですけど。

インタビューとか、全然出たくないですよ。
「俺のシナリオがすごいから、プレイして欲しい」とか、そういう
気持ちは全然ありません。
ポケモンにストーリーは不要と考えているユーザーの方もたくさんいるし、
そこに「自分の書いた話がすごいだろ!」というのは違うと考えています。
ゲームを買う目的に「ストーリー」を挙げてくれる方がいたら、
それは嬉しいですけれどね。

―今回のシナリオはまつみやさんが一人で書いたのですか?

メインは自分が担当しました。
メインは一人で書いた方が統一感が出ますし、伏線も張りやすいですから。
観覧車などのサブイベントは、他に何人かで書いています。

―「ポケットモンスターブラック・ホワイト」のシナリオを仕上げるのに
 どのくらいかかりましたか?

「ポケットモンスター プラチナ」が終わってからの参加で、
プロット込みでも1年半ほどです。
細かいところは今年に入ってからもちょこちょこ直しましたが、
大筋は変わっていませんし。

―セリフまわしとかも当然まつみやさんの担当ですよね。ということは、
 ポケモンの鳴き声を文字に起こしているのもまつみやさんですか?

そうです。

―今回は、「伝説のポケモン」の鳴き声についての話題をよく耳にします。
 私も初めて見たときにびっくりしたんですけど (笑)。

すんません(笑)。
これにはちゃんと意味がありまして。
「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」などは、伝説のポケモンは
捕まえたらもうそれっきりで、一緒に連れて冒険しない可能性があります。
そのときに、パッケージの絵と名前だけでは、話題にするときの
要素が足りないと考えていまして。
変な鳴き声にしてインパクトを残すことで、ちょっとでもユーザーが
盛り上がるかな?って思って、ああいう鳴き声にしています。

―私、四天王を倒した後に盛り上がって一気にクライマックスまで
 進んだんですよ。あまり細かく書くとネタバレになっちゃうので
 詳しく言えないのですが、自分の中で超盛り上がっているときに、画面に
 鳴き声が表示されて。思わずDSを置いて、鳴き声で検索しちゃいました。
 私と同じく、何ともいえない気持ちになった人がいるんじゃないかって。
 案の定、結構な件数がヒットしました。

僕は緊張が続くことに耐えられないんですよ(笑)。
テンションが上がり続けるのはしんどいじゃないですか。
あの場面でカッコイイ鳴き声にすることもできるけれど、
それだと印象に残りませんし。

―サウンドデザイナー・一之瀬が作ったポケモンボイスは
 カッコイイじゃないですか、「ガオー」って。

あれはカッコ良すぎますよね(笑)。
というかですね、実は鳴き声が決まっていないときにテキストを書いて
いるんですよ。
それで、変な鳴き声にすると一之瀬が困るかなと思っていますが(笑)、
一之瀬はああいうの(変な鳴き声の表記)が好きみたいなので
大丈夫です。

―大丈夫なら安心です。
 ちなみに、野望というか、今後やってみたいことはありますか?

ポケモン以外のシナリオを書きたいですね。
小説とかじゃなくて、ゲームのシナリオを書きたい。
ゲームは、さっきの「ジェイミーのデモ」や「おおむらのキャラクター」
という話じゃないけど、みんなで作ることで、設計図どおりじゃなくて
面白い方向にどんどん変えられるのが魅力だと思う。
だからあくまでもゲームのシナリオが書きたいです。
今もいくつか考えていますよ。

―最後になりますが、ユーザーのみなさんへメッセージをお願いします。

お気に入りのキャラクターとか、お気に入りのセリフを見つけてもらえると
嬉しいです。

まつみやでした!
—–


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