Archives

・第126回・

12周年記念企画第二弾!

「ポケットモンスター ピカチュウバージョン」
アニメのピカチュウのように、ピカチュウが”ピカチュウ”と鳴きます。
ゲームボーイでは高性能なサンプリングの機能はありませんから、
どうにかして、”ピカチュウ”と鳴かせなければなりません。

そこで、当時プログラマでもあったマスダは、
音声を1ビットデータにするコンバータを作成し、
それを再生するプログラムを組みました。

仕組みとしては、、
まず、サンプラーなどの機材で音をデジタル化します。
サンプラー画像
※この波形はディアルガの鳴き声です。波形ではこんな感じになります。

拡大すると、こんな感じ。
サンプラー画像

さらに拡大すると、
サンプラー画像
ほぼ、デジタルな状態に。波形は音量データとして数値化されています。

これをコンバーターで、0と1に。

データとしては、、、
サンプラー画像
こんな感じに。(画像の赤い0と1)

どのレベルを1にするかでも音に影響するので、コンバーターには変換方式をいくつか用意しておきます。

この0と1をゲームボーイのクリックノイズ(ブチツ!)といった音で、
0は鳴らさない。1は鳴らす。というのを高速に行います。
この高速に行う、というのがポイント。
早いほど良い音になります。

”ピカチュウ”の完成です。
ピカチュウ

いま聞いても可愛い。。。

では。

(c)1995,1996,1998 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.

・第125回・

12周年記念音楽企画!

過去のオープニング曲を比較しながら、これまでの音楽の変化を見てみたいと思います。
※曲の一部分のみです。また演出の効果音が入っています。ご了承下さい。

(1)ポケットモンスター 赤・緑・青

オープニングデモ

タイトル

これはゲームボーイというゲーム機で、
音数は全部で4音。2音矩形波、1音三角波、1音ノイズという編成でした。
作曲はわたし、マスダです。ゲーム内の音楽も、効果音や鳴き声もすべて担当しました。
オープニングの曲はバトルのイメージから考えました。
そして、タイトル曲は怪獣をイメージしました。
最初に手引きで15秒ぐらいの曲を30位作り、方向性を確認。
その後、全体を作りました。
重厚感が出るように少し重ためのノイズ音をマーチっぽく入れてます。
ノイズの音量を少しずつかえて、スネアドラムの跳ねた感じを表現してます。

(1)ポケットモンスター ピカチュウバージョン

オープニングデモ

やんちゃ、わんぱく、かわいい、怒る、すなお、ふわふわ、でんき、赤いほっぺ、などなど、、、
ピカチュウから感じられるイメージで作曲しました。
画面のシーン切り替えで、大量のデータ転送が行われるため、音楽が遅くならないように工夫してます。

(2)ポケットモンスター 金・銀

オープニングデモ

タイトル

これもゲームボーイです。
オープニングデモの作曲はしましたが、うちのサウンドデザイナー、一之瀬くんがアレンジしてくれました。
出だしの「ゴーーン、ゴーーン」という音はすべてがはじまる鐘の音をイメージしてます。
タイトルのアレンジはマスダがしました。
ちなみに、ゲーム内の音楽は、一之瀬くんと一緒にやってます。

(3)ポケットモンスター クリスタル

オープニングデモ

タイトル

ゲームボーイカラー専用ソフトです。
左右でパンを振ったりと、少し実験的なことをやっています。
オープニングデモとタイトルはマスダの作曲、アレンジ。
この辺りから本格的にディレクター業になり作曲が激減します。

(4)ポケットモンスター ルビー・サファイア・エメラルド

オープニングデモ

タイトル

ここからゲームボーイアドバンスになります。
4音サンプリング波形、3音矩形波、1音ノイズ。
(これでも、効果音が鳴るとBGMの音が消されてしまいます)
このタイトル音楽のインパクトはすごいです。
一之瀬くんのアレンジ。いやー、最高です!お見事です!
マスダはバトル音楽のみ作曲。

(5)ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン

オープニングデモ

タイトル

ゲームボーイアドバンス。
すべて一之瀬くんのアレンジ。
話し合って基本の音はそのままに。追加音でアレンジしていく方向になりました。

(6)ポケットモンスター ダイヤモンド・パール

タイトル

ここからはDSです。
どんな音でも出せるようになりました。
サンプリング、16音という豪華な仕様。(でも、効果音を考えて10音で作成)
オープニングのデモとタイトル曲は1つになり超豪華に。
ここでも一之瀬くんのアレンジが光ります。
わかりますか?
赤・緑のタイトル曲のアレンジです。
ほとんど、オリジナル。すごい!
ゲーム内の音楽は、一之瀬くん、佐藤さん、マスダで、
わたしは戦闘音楽のみを担当しました。
効果音は野原くん。
ずいぶんとサウンドのスタッフが増えました。
佐藤さん、野原くんが加わったことで音の幅がさらに広がりました!

いかがでしたでしょうか?
オープニングデモ、タイトル音楽から見るポケモンの歴史。
懐かしくもあり新鮮でもあり、当時を思い起こしてくれます。
これも1つの「音楽のチカラ」ですね。

では。

(c)2008 Pokemon. (c)2008 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.

・第124回・

2月27日。
日本のこの日、ゲームボーイソフト『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されました。
ピカチュウやフシギバナ、リザードン、ニャース、ミュウツーが世の中に生まれ出た日です。

そうです、今日はポケモンにとって、ゲームフリークにとって、
そしてマスダも含めた開発したスタッフにとって、特別な意味のある日なんです。

当時のスタッフは今も社内でエネルギッシュに開発してますが、
今日は過去を振り返る、良いタイミングでもあります。

より良いものを創る。
昨日より今日、もっと良いものを創ろう、そういった気持ちで日々頑張っています。
その気持ちは、当時と何ら変わりありません。

これからも、その気持ちを大切にしていきたいと思います。

そして、、、
世界中の皆様に支えられて、この12周年を迎えることができました。
本当に、感謝しております。
ありがとうございます!

まだまだ、これからもポケモンは進化を続けます!

チャオ!

・第123回・

2月24日(日)大阪府にある京セラドームで行われた、
「ポケモン大好きクラブパーティー」に行ってきました!
これ、会員限定イベントだったんです。

午前と午後の部で行われたこのイベント。
人の多さと活気が半端なくすごかった!
会場でのさまざまなゲームにお父さんやお母さんも参加して大にぎわい。

京セラドームは野球場サイズなので、とっても広いんですが、
それが感じられないほど。

いやー、やっぱりイベントって楽しいですね。
盛り上がります。

あっちゃこっちゃ見てゲームのルールに感心したり、
写真を撮ったりしていると、、、
ステージのほうに人が集まりだしました。
そうです。
ポケモンたちが出てくるステージが始まろうとしてたのでした!
入り口で子供たちには「花」が配られてます。(なんだろ?)

このステージ。
おねえさんを筆頭にお客さんとポケモンたちが一丸となって、
みんなで幻のポケモン、シェイミを探します。

会場全員でポケモンの名前を呼んだりして困難に立ち向かいます。
そして、ついに冒険が終盤にさしかかったとき、
子供たちが一斉に「花」を空高く持ち上げました!
2500人の花畑!(ここでつかうのかっ!)
その美しさと感謝の気持ちによってシェイミが現れました!
いやー、良かった良かった。

そして、最後に「花」は感謝の気持ちを込めて、
お母さん、お父さんに子供からプレゼント!!
「いつも ありがとう!」という子供たち。美しい光景です。

いろいろなイベントがある中でも、
とくに、何かあたたかい気持ちをもらったイベントでした!

行けなかった方!また、チャンスがあるかも知れません。
大好きクラブ、要チェックです!!

では。

123a.jpg
123b.jpg 123c.jpg 123d.jpg
123e.jpg 123f.jpg
123g.jpg 123h.jpg
123i.jpg

・第122回・

今回はポケモンの海外名称について。

たくさんあるポケモンに名前を付けるのはとても大変な作業です。
しかも、主役級のポケモンは特に世界共通名称になるので作業は倍増。

例えば、ディアルガ(DIALGA)。
スペイン語翻訳の欧州スタッフからは、、、
昆布とかワカメといった海草のイメージが近いのでNGにしたい!
という話もありました。
確かに英語表記でも、ALGA=藻、という意味なので、
そういう感じがするかも知れないのですが、、、

でも、ここで諦めてはいけません。
ここから、イメージや考え方のすりあわせをしていきます。

それは、、、「ALGA=藻」であったとしても、、、
「DI+ALGA」なので、日本語も同様に考えてみます。
すると、仮に「DI」を「デ」にして。。。
・そもそも「デコンブ」のような感覚なのか?DIに何か意味があるのか?
・「デコンブ」というドラゴンタイプのポケモンを昆布だと思うのか?
・それは、パッと見てそう感じるのか?
などなど、どこまで「昆布」なのか!?をやり取りします(笑)。

こうして世界共通名称が1つずつ決まっていくのです。

ちなみに、最終的にスペインでもDIALGAなのですが、、、
どうでしょう?
スペインの方々は昆布のイメージ、、、持ちますかね??

日本語からはじまり英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、韓国語と広がる、
ローカライズの苦しみと楽しさでした!

チャオ!